心の積極(せきぎょく)「心は思う仕事をする道具」 「肉体は活動する道具」
十数年前、一冊の本に出会いました。「成功の実現」中村天風 (1988年刊 9,800円 財団法人天風会)です。
中村天風
門下生に原敬、東郷平八郎、尾崎行雄、山本五十六・・・、天風に共鳴し教えを自らの人生に事業経営に活かした人たちとして、ロックフェラー三世、松下幸之助、稲盛和夫の名が連なっている。
この「成功の実現」から、中村天風翁の言葉をご紹介し、子供たちと向き合うための指針をお伝えします。題して「心のクリーニング」。
人生で成功を目指す時、勉強や経験を重視しますが、もっと大事なことは「心の態度」。運命や成功も、学問や経験を豊富にしなければいけないと思い、健康や長生きは、肉体に施すサプリやスポーツが何より重大であるように思っています。でも実はそれらは二義的なもので、第一義は心の態度ではないでしょうか。心が積極的か消極的かで、人生に対する考え方が全然両極端に相違してしまう。
人生は一度限り。心の態度を終始一貫積極的にあらしめることです。それは尊く、強く、正しく、清く生きるということです。消極的な心をクリーニングして積極的な心で充満する。そのために天風翁は次の5つを掲げました。
- 第3者の心になって自分の心を検討する。
- 取り越し苦労をしない。
- 言葉に気をつける
- 感謝を先にする。
- 心のクリーニング。
第3者の心になって自分の心を検討する。
否定的な観念や消極的な考え方は絶対にもたない。そのためには、第3者の心になって、今自分の心は積極的かしら消極的かしらと、常に検討することが必要です。
同情や批判を乗りこえて、自分の考えている事柄を積極か消極か「断定する」ことが大事。そして少しでも消極的なものを感じたら颯爽たる勇気を持って心の中から追い出してしまいましょう
取り越し苦労をしない。
ほんとうに心配することを心配した場合でも、心配しなくていいことを心配した場合でも、結果は同じ。のべつなくまし、あれがああなったら、これがこうなって、これがこうなったら、ああなりゃしないかと、自分の気持ちを苦労と同居せしめて、しどろもどろの人がずいぶん世の中多い。取り越し苦労をすると自分の命を削る大きな損害がくるんだと知っておかれたいのです
言葉に気をつける。
「困った」「弱った」「情けない」「悲しい」「腹が立つ」「助けてくれ」「どうにもならん」というような言葉が充満している中に生きているお互いは、価値のない感化を受けちまうことがあるのです。はたがどうあろうとも、自分自身は絶対に消極的な言葉を使わないことであります。不平不満が言葉にあるとどうしてもその言葉が積極的になりません。
感謝を先にする。
人生は心一つのおきどころ。ささいなことでも感謝を先にして、(病や不運も)喜びでこれを迎えたならばお互いの住む世界はそれこそ黄金花作爛漫たる喜びの花園となります。
心のクリーニング
体の汚れをとるためお風呂に入りますね。それより心の垢、汚れをとることが一番必要なんです。お風呂に入ると同じ気持ちで、これから毎晩、眠りにつこうとする前に心の中をお掃除する習慣をつけなさい。
眠りにつくまでの間、何も考えないで眠りに入るのがほんとうの理想です。1日の疲れを休めて、また明日の命の蘇りをいただくために、夜の時間を安息の時として床の中に入る。寝掛けは非常に大事なのです。
人間の寝際の心は無条件で同化する暗示感受習性があるんです。夜の寝際に考えたことは嘘でも本当でもそのまま潜在意識領に刻印される。
(近代において最も影響力の大きな哲学者の一人である)イマヌエル・カントは自分の寝床に「ここで考えごと無用」の大きな張り紙をしたそうです。
できそうにない、という人のために・・・
それは思えば思うほど楽しいことを思って寝るようにしてごらん。そのうちだんだん心がきれいになってくると「ああ今まで楽しいと思っていたことも思っちゃいけないことだ」と思えるようになるから。きれいな気持ちになって寝ることを一生けん命おやんなさい。』
心は思う仕事をする道具。心は思ったり考えたりする以外にする仕事がない。心が積極的になると、肉体から心が引きずられなくなる。