「自分を超える力」 成果を上げるため結果を数値化する
水泳選手の松田丈志さんは著書「自超力」で、数値化する、記録をとることがモチベーションに影響する、と言っています。
0.1秒0.01秒が勝負をわけるこの世界。それは人間の持つ能力で言えばほとんど差はありません。しかしそのたった0.01秒が、人生を大きく変えてしまうのです。
学習を細かく数値化せよと示唆を与えてくれました。「自超力」は学習や部活動に気づきを与えてくれる1冊です。「自分を超える力」にまとめています。読んでみてください。
「勉強上手」の勉強法
学習効率とは
- 学習効率とは、限られた勉強時間の中で、参考書を何周繰り返すことができるか、を考えることです。
- どうやったら一回読んだだけで点数がとれるようになるか、ではありません。
- 効率を上げたかったらまず量をこなさないといけない。
勉強を身につけるには、成果を数値化し、「振り返る・反復する、やり抜く」ことが必須です。
勉強を数値化し巡回学習する手順
勉強法として次の1、2、3は参考になると思います。
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- 1.振り返る・反復する
- 2.自己評価の数値化手順
- 3.巡回学習の注意点
竹下数塾がatama+導入している理由は、この手順を自動化しているからです。

1.振り返る、反復する。
振り返りが学習効果を上げる。 「1巡理解、2巡習得、3巡(合格)突破!」
自分の勉強を振り返ることで、弱み、改めるべきことなど自分の行動パターンや傾向を整理する。例えば「いつもここで計算ミスを起こすんだな」と、克服すべき目標を明らかにする。目標を明らかにして反復すると学習効果が上がる。
取組みを振り返ることなく反復しても、学習成果は低い。(酷な言い方でごめんなさい)
竹下数塾では、学習を振り返るために、学習の自己評価を数値化させる。反復には「1巡理解、2巡習得、3巡(合格)突破」と巡回に目標をかかげ、評価の目安にしている。
あくまで学力イメージだが、共通テストでさえ「3巡突破」つまり同じ問題を3回ですらすらと解けるようになるのは「九大B判定」レベル以上。反復なしで習得できる生徒にお目にかかったことはない。学習成果を上げる人ほど教材の習得に反復で取り組む。このページでは振り返りの方法を記す。
結論:小テストで成果を細かく評価しながら学ぶしかない。
- 習得したいなら練習するしかない。部活と一緒。
- 部活は成果が目に見える。勉強は成果が見えない。
- だからテストで成果を評価しながら学ぶ。
このページでは、問題集を効率的に学習するために、自己評価の数値化手順、巡回学習の注意点について伝える。
竹下数塾では学習の「見える化」を小学生から取り組めるように指導している。

大学受験の高3の問題集。日付〇△×で学習を「見える化」
2.自己評価の数値化手順
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- 勉強した「つもり」になっていないか
- 問題の解き進め方、訂正ノートの作り方。自学の「鉄則」
- 学習結果を自分で評価「見える化」日付〇△×タイム
- 結果が見えていないと、何をすべきか方針がたたない
- 10点満点評価
勉強した「つもり」になっていないか?
この問題から何を学んだか?他の問題で活かせることは何か?
と学習者に問いかけてみるとよい。勉強した「つもり」では答えられない。
解けない、間違った問題の解説を赤ペンで丸写しする人がいる。「学校の先生から指示されて赤ペンで書いている」と言う。その人の様子をみると「仕上げること」が目的になっている。
勉強の目的は、取り組んで脳を鍛えることだ。ところが、仕上げることが目的、作業となっている人は多い。学校の先生も仕上げたこと、やったかどうかの点検に止まり、勉強の質を評価することは困難だ。
定期考査では、勉強の質を評価する。できるかどうかを試すのだ。作業のような勉強からいい成果は得られない。だが、子どもたちにしてみると、自分は勉強したのに結果が出ない。と感じられるだろう。
以下、振り返りのために、2.問題の解き進め方から、5. 10点満点評価までステップ化した。
問題の解き進め方、訂正ノートの作り方。自学の「鉄則」
手順
- 解説を読んで理解する。
- 解説を伏せて、鉛筆でノートに答案を再現する。
- 鉛筆だったら気づいたミスは消せる。
- 再現中に詰まったら、そこだけ解説を読み直そう。
- 詰まったところがあなたの弱点、つまり強化すべきポイントだ。
- 解説を伏せて、答案の続きを作ろう。
- 答案ができたら、解説を見直そう。
- マチガイは赤ペンで、ポイントは青ペンで、ピンポイントでコメントをいれよう。
- 最重要は「他の問題で応用可能な学びは何か?」
- 赤ペン青ペンでコメントすることで注意を自分に喚起する。
- この問題から学ぶのは、出来なかった点気づかなかった点、答案のストーリーではない。
- やっぱり理解できない。そんな箇所は先生と一緒に考える。
- 解説を読んで作った答案とわかるように最後は赤ペンで答案を囲む。
学習結果を自分で評価「見える化」日付〇△×タイム
次の画像はセンター試験で正答率9割超、国公立大合2次逆転合格者が問題集に記した自己評価の記録

手順
- 問題を解いたら問題集の問題番号付近に日付、〇△×、タイムを書き込む。
- できた問題には〇、
- できなかった問題に△×を記入。解答を読んで理解できたらノートに再現する。
- 再現できたら△×を〇で囲む。
- 理解できなかったら先生から説明を受ける。
- 解いた日付、かかった時間を記録する。
- 問題集に書きこむこと。ノートではない。
- ノートは次々に替わるが問題集は一つだから。
- 問題集に日付、〇△×、タイムの学習履歴が並ぶと自分の理解度を把握できる。
- 大問、ページごとに「10段階評価」する。
結果が見えていないと、何をすべきか方針がたたない
竹下数塾の「見える化」は、
- ① いつでも見える
- ② 見たくなくても見える
- ③ 他人(指導者・保護者)が見ても、学習のコンディションがわかる
状態であること。

中1の学習の記録。巡回学習を色分けして学習結果を「見える化」。
上の写真から学習の取組み次のように読み取れる。
- 8/2,8/7,8/9 と学習した。
- 8/2は(1)(2)は正解、(3)は不正解だったけれど見直しで理解できた。解き直した。
- 8/7は(2)は正解、(1)(3)は不正解。(1)は初巡では正解だったのにね。
- 8/9も(1)(3)は不正解。解き直した。
この記録から
- 3回繰り返した。
- でも3回とも正解したのは3問中1問のみ= 33% = 33点です。
- つまり確実に期待できる得点は33点。
勉強方法を改める必要がある、と判断できる。
このように「見える化」は成績を上げるための必要条件だ。できることとできないことの区別が、やるべきことを決めるからだ。できないことをできるまで反復する。それが勉強であり、それを続ける力が「学力」だ。
10点満点評価
大問ごと、ページごとなどで10点満点評価する。ある大問が小問(1)(2)(3)の3問からなり、2問正解だとする。正答率は2/3→0.66→×10倍→6.6→小数を切り捨て→6点とする。
簡易的な計算法として、2/3→20/3→3×6=18、3×7=21→20を超えないのは6→よって6点 と教えている。
3.巡回学習の注意点
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- 1. 周回記録をとる。
- 2. 「数学の秀才」がやっている学習法
- 3. 初巡が大事。
- 4.部活と同じだ!
1. 周回記録をとる。
諫早高合格した中3の問題集周回記録をご覧ください。(動画22秒)
・ストップウォッチでタイムをとりながら勉強を進める。
・10点満点自己評価で数値化する。

真津山小6の過去問プリント。
上部中央にかかった時間17m23s(17分23秒)
青:日付〇×、黄:正答率
赤:⑤④が「合格・完成」の評価。
- 当然だが、2巡3巡と反復すると時間が短縮し間違わなくなる。この当然のことがなかなかできない。
- 10点満点自己評価を、保護者や指導者と共有する。1点「初心者」から10点「合格」。10点になると巡回対象から外す。
2.「数学の秀才」がやっている学習法
何巡すればいいのか?と訊ねる人がいる。巡回数が目的でなく、できるかどうかがすべて。君が「もう大丈夫、できる」と確信した問題は省いて絞り込んでいけばいい。
十周すればたいていできるようになる。
「偉人たちのブレイクスルー勉強術」 斎藤孝p238から引用

数学の天才は東大の理Ⅲと京大と慶應の医学部にひとにぎり。それ以外の数学のできる秀才たちは何なのか。
「どうやってできるようになったの?」と聞いたときに、「ただ、問題集を五周、十周するだけですよ」「そうそう、十周すればたいていできるようになりますよ」みんな信じられないぐらい繰り返して鍛錬している。
十周とは10回繰り返し解くという意味。
わかるとできるは大違い。「だから最初から言っているでしょ、十周だって。まだ二周目でしょ。二周で自分は向いてないからとか言って絶望するのはおかしいでしょ」
十周できたら完璧になっていればいい。目標を後ろに設定しておくと、三周、四周なんてまだできなくて当然という気持ちでいられる。
3. 初巡が大事。
ポイントは1巡め。1巡めを乗り越えれば2巡め以降はスムーズだ。山口真由さんの「7回読み勉強法」が心構えを伝授する。

抜粋 p78
最初に問題集を解くときには、問題形式にも慣れていないし、知識もないのだから、間違えるのは当たり前。どう考えても、間違える問題のほうが多いのです。
ここでいちいち間違いと向き合っていると、気持ちが沈み、勉強がはかどりません。
だからこの段階で間違った問題にチェックを入れることは一切しません。
自分の出した答えが違ったとしても、自分の回答のどこがどう違うのか、なぜ間違ったのか、などという分析は一切しませんでした。ただ、正答に付された解説を読むだけ。こうすると、自分の間違った考えにとらわれることなく、正答とその解説だけが記憶に残りやすくなります。
p79
誤答のチェックをするのは、全問題を少なくとも5回以上解いたあと。その時点になると、全体的な理解も進んでいて、正答のほうが多くなっています。
正答率8割、誤答率2割くらいになってから、自分の間違った問題について分析するというのが、もっとも効率的なのでないかと思います。
「7回読み勉強法」をヒントに私は次のように指導する。
- 生徒が「わかった」と判断したことをさらに説明しない。
- わかったかどうかは、周回してテストで確認すれば済むことである。
- 疑問が解決しないときに、ともに考え理解を深める手助けをすればいい。
- 目標を見失わせない、学習スピードを落とさせない。ことがもっと大事。
- 生徒の状態を把握し、コーチとしてしっかりと伴走する。
初巡さえうまくいけばあとは反復して不十分な理解がないか点検する。今年(2022年)は多くの受験生が過去問題を巡回学習し全員が国公立大に合格した。
4.部活と同じだ!
知識を習得する過程で感じる自己達成感や成長体験は「自分の内側から生まれるもの」です。自己達成感、成長体験が子どもたちの人生を支えます。決して知識そのものが支えているわけではありません。
部活と同じなのです。水泳や陸上をやっている人はタイムとコンディションを記録します。野球やバスケではマネージャーがスコアブックを記録します。これらの記録は明日に活かすため残します。
「日付〇△×タイム」も同じです。「おっ、できるようになったぞ」とか「まだまだだなぁ」とか感じるようになります。その情動 - 感情の動き - が子どもたちを成長させると考えています。 (2019.6.4)
参考書・問題集を巡回学習する習慣をつける。
高校生になっても、大学入試でも、活かせる学習法を小中学校の段階から習慣化したい。塾では次のように指導しています。
- 高校2年から始める過去問題研究。初巡でいかに負荷を下げて学習するかが重要だ。:反復・発展的学習への進み方
- 学校の補助教材の使い方:学校購入の教材を上手く使おう