数値化して自己評価、習慣化。
問題集を1冊やりきる。この経験は、学力をつくる土台になる。
間違えても大丈夫。大切なのは、「最後までやった」という実感を自分の中に残すこと。
100%を目指す前に、「間違いから拾いなおせばいい」という気持ちを持てるようになると、勉強はぐっと楽になる。
同じ教材を何度か回し、3時間集中してみる。これは根性ではなく、集中する“習慣”を作るための練習だ。
どれだけ力がある人でも、挑戦には少しの支えが必要になる。
高校受験:正答率の見える化
この進度表は、中3生が受験問題集に取り組んだ記録だ。
正答率を数字で残すことで、「どこができて、どこが苦手なのか」がすぐに見えるようになる。
間違えた問題は「みどり」にして、反復で少しずつ減らしていく。
勉強には「わかったつもり」がつきものだ。
でも、数字で確認すると自分の本当の実力が見えてくる。
正答率を見ながら進めると、迷いが減ってスピードが出る。
「この一冊をやりきれば受かる」という軸を持つことが、学習を安定させる。
センター過去問:反復回数と伸び(A表)
A表は、高3のSさんがセンター過去問に挑んだ記録だ。
3か月で延べ376回。とても大きな数字だが、毎日の積み重ねが形になった結果でもある。
Sさんは体育部のキャプテンで、帰宅が遅い日が続いた。
宿題も多く、成績も下がっていった。そこから「このままではいけない」と思い直したのが、高総体が終わった頃だった。
学校の課題だけでは自分の勉強ができない。
そこで彼がしたことは、やることを増やすのではなく、「やらないこと」を決めることだった。
そうして、過去問の時間を確保した。
世界史:9回反復で“わかる”を定着(B表)
世界史は、勉強しても覚えられなかったという。
だから彼は思い切って、やり方を変えた。
「過去問で出たところだけ覚える」。これがうまくはまった。
B表を見ると、2017年の世界史を3か月半で9回反復している。
1回解けても次は解けないことがある。でも、反復を重ねると少しずつ定着していく。
本番前に一気に伸びたのは、その積み重ねが効いたからだ。
センター本番で躍進、しかし0.7点の壁
Sさんは模試で大きく順位を上げ、本番でも自己最高点を取った。
第1志望の熊本大も、B判定で十分に届く位置にあった。
けれど、個別試験は国語と数学で勝負する必要があった。
努力を重ねたが、結果は不合格。
合格最低点との差は、たったの0.7点。
ほんの少しの差だった。
個別試験:20年分の過去問反復(C表)
数学が苦手でも、Sさんは逃げなかった。
20年分の過去問を反復し、合格者平均点(約4割)を目標にした。
自分の位置が数字ではっきり見えると、不安よりも「次に何をすべきか」がわかる。
努力を感覚ではなく、数字でつかむ。
これが、本当に伸ばしたいところを見落とさずに進むコツだ。
後期で県立大看護に合格
Sさんは後期で県立大看護に合格した。
将来は看護師になり、養護教諭になる夢に向かって進んでいくはずだ。
大切なのは合格したことだけではない。
受験を最後までやり抜いた経験そのものが、これからの人生を支える力になる。
この物語は、そのことを伝えたくて書いた。
間違ってもいい問題集を1冊やり遂げる経験は、
「まちがいなくうまくやることが出来る」という自己評価=自信を育む。
100パーセント正答するには「間違いから学べばいいんだ」の姿勢が大切だ。
同じ教材をまわして3時間集中を継続する。
学力が高い子にもチャレンジには支えが必要だ。
高校受験:正答率の見える化
右の表は中3の高校受験問題集の進度表。
全問の正答率を記録する。「みどりにすればいいんだ」と不正解を反復学習で絞り込む。
「わかっていると思っていることを本当にわかっているのか」を
自分自身で評価できるようになると、学習が加速する。
「この問題集をマスターすれば県下どこでも合格できる」「間違いから学べ」「忘れた内容を再学習すると忘れなくなる」と意識づけ、問題集に集中させる。
センター過去問:反復回数と伸び(A表)
A表は高3Sさんのセンター試験過去問の正答率の推移。
最低点(右)から最高点(左)に至るまで、
9月末から本番までの3か月で延べ376回反復した。
Sさんは体育部キャプテン。
部活で帰宅が遅く、宿題が深夜までかかる。
成績は学年下位まで落ち、「なんとかしなければ」と高3の高総体後に反発。
学校の宿題が多く、自分に必要な勉強ができないため
「しないこと」を決め、センター過去問に時間を作った。
世界史:9回反復で“わかる”を定着(B表)
世界史の先生が怖くてよく勉強したが覚えられない。
そこで「過去問に出たことだけ覚えよう」と決断。
B表は2017センター世界史の反復記録で、3か月半で9回反復した。
1回解いたから次に解けるわけではない。
地道な反復で、直前に成果を実感し、本番で自己最高点。
センター本番で躍進、しかし0.7点の壁
Sさんは模試で校内200人抜き。センター本番は自己最高点。
第1志望の熊本大(養護教諭養成課程)はB判定(10人中6人合格)。
しかし個別試験は国語と数学で勝負し、不合格。
750点満点で合格最低点との差は0.7点。
合格者2名に対し20位だった。
個別試験:20年分の過去問反復(C表)
数学が苦手なSさんは、個別試験を苦手科目で受ける覚悟を決めた。
201年分の過去問を反復し、合格者平均点(約4割)を目標に設定。
努力量を数値化し、可能性を判断しながら挑戦した。
後期で県立大看護に合格
Sさんは後期で県立大看護に合格。
将来は看護師資格を取得して、養護教諭になるだろう。
受験をやり抜いた経験は、きっと一生を支える「自信」になる。

