2020年1月7日火曜日

君たちはどう生きるか 吉野源三郎 著

「自分から、苦しいことやつらいことに飛び込んでいって、それを突き抜けてゆくことに喜びを感じるなんて、本当にすばらしいことだと思わない?苦しみが大きければ大きいほど、それを乗り越えてゆく喜びも大きいの。」p154

紀伊国屋書店でマンガ版と新装版の「君たちはどう生きるか」(マガジンハウス)がベストセラーと紹介していた。「このタイトルは見覚えがあるぞ」と我が家の本棚を探って見つけたのがこの岩波文庫版である。わたしの次女が大学法学部合格の際、課題レポート指定図書(岩波文庫青本)の一冊。写真の、付箋と薄く引いた鉛筆の線は当時娘がつけたもの、赤い線はわたしが引いたもの。

 君自身が心から感じたことや、しみじみと心を動かされたことを、くれぐれも大切にしなくてはいけない。p57

 僕たちが、悔恨の思いに打たれるというのは、自分はそうでなく行動することも出来たのにー、と考えるからだ。それだけの能力が自分にあったのにー、と考えるからだ。p255

 僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。p256

 語り伝えようとしたものが、単なる道徳的な説教にとどまらず、「常にその問いが社会学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問われなければならぬ」(装丁カバーより)である点にひきこまれる。一気に読める一冊だ。

 丸山真男氏『君たちはどう生きるか』をめぐる回想 p310が、この本をよく紹介している

この1930年代末の書物に展開されているのは、人生いかに生くべきか、という倫理だけでなくて、社会科学的認識とは何かという問題であり、むしろそうした社会認識の問題ときりはなせないかたちで、人間のモラルが問われている点に、そのユニークさが表れているように思われます。

 

子どもたちに読んでもらうならマガジンハウス版かな?マンガ版含めて読み比べたい一冊です。

20171219記 再掲