私なりに文章の書き方を書籍で学び、君たちの作文を添削しながら、さらによくするにはどうしたら良いか「型」を検討してきました。このページは生徒たちに取り組ませている「型」です。
- 文章全体の9割を体験談で、最後の1割を感じたり考えたりしたことでまとめる。
- 桃太郎の話を真似よ。起承転結(きしょうてんけつ)で書け。結に君が感じたり考えたりしたことをまとめる。
- 作文は先生への自己紹介、先生へのラブレター。いいねと感じる作文には、敬意が感じられる。
これを読まれたみなさん、疑問に思ったこと、感じたことを教えてください。
読みたいことを、書けばいい。
体験したことを情景が思い浮かぶように書き並べれば、読む人は勝手に、君が感じたり考えたりしたことを、感じてくれる。
「NHKスペシャル」が、なぜあれほど私たちを感動させるのか?
あの番組では、徹底して調べた事実、そしていままで明らかになっていなかった新事実が提示され、作り手の主義主張を言葉にすることはない。
ファクト(事実)をならべることで、番組を観た人が考える主体となれる。
(「読みたいことを、書けばいい。」よりp148)
長崎県の県立中の作文問題は次の形式で問われる。
「○○について、あなたが感じたり考えたりしたことについて五百字以上六百字以内で書きなさい。」
○○は「地域や社会をよくするために」「読書」「ボランティア」「マスク」などだ。君にも経験があることばかり。「感じたり考えたりしたこと」があるはず。
しかし、はたして小6が、50分で、五百字以上六百字ぶんも、感じたり考えたりできるか? 大人でさえ、「無理」だ。
最近は「まず最初に結論を書きなさい」と習うらしい。しかし「感じたり考えたりしたこと」を最初に書くとどうなるか?字足らず である。字数を満たすため、「感じたり考えたりしたこと」を文章後半に2度3度と繰り返すはめになる。
どのように伝えるか。How
体験談で制限字数の9割埋めよ。
君は体験談を「NHKスペシャル版」に仕上げる。600字書く作文は9割540字を、君の体験談=事実で埋めよう。
感じたり考えたりしたことは1割=60字、最後の3行に書く。
お手本は桃太郎の昔話だ。1文1行半以内20字から30字をめどの短い文章を、起承転結でつなげ。
- 昔々、おじいさんとおばあさんがいた。(起 いつ・誰が)
- おじいさんは芝刈りに、おばあさんは川へせんたくにいった。(誰が・どこで)
- そこへ、おおきな桃がどんぶらっこどんぶらっこと流れてきた。
- 家に持ち帰ったおばあさんが桃を切ってみると・・・・・(承 いつ・誰が)
- 桃太郎の昔話はこちら。(読み聞かせ付き)
桃がどんぶらこと流れてきても、中から男の子が飛び出しても鬼ヶ島に行っても違和感がない。君のお気に入りのアニメでもいい。ストーリーがしっかりしているから、自然で、共感するんだ。
君がそう考えたのは、もっともだね。 「承認」
君は誰に、感じたり考えたりしたことを伝えようとしているのか?もちろん、読む人すなわち作文の採点者である。採点者は君が県立中に進学したとき、君の担任になるかもしれない。作文を、中学の担任の先生への自己紹介文のつもりで書いてはどうだろう?
先生に君の体験を追体験させるために、先生が情景を思い浮かぶように書く。登場人物の表情を思い浮かべられるように描く。
過去からさかのぼる順番が書きやすい。登場人物たちの会話を「 」でくくって積極的に引用しよう。
作文の結び(最後のまとめ)では「なるほど、君がそう考え感じるのは、もっともだね。」と、君の考えや感じたことに共感してもらえるよ。
何を伝えるか。 What
話題は、ある日のある一瞬かもしれない。登下校、学校での授業、家での生活など毎日繰り返されることかもしれない。
クラブ活動、児童会・委員会活動、ボランティアなど取り組んだことを書こう。失敗や苦労したことには喜怒哀楽が伴う。まさに「感じたり考えたりしたこと」がそこにある。それを、いつ・どこで・だれが・なぜ When・WHere・Who・Why いわゆる5W1Hを整えて描くのだ。
敬意を込めて、伝える。
君の作文をどんな人が読むのか、君は知らない。文章を書くときに絶対に失ってはいけないのは敬意だ。
敬意(けいい)とは、他人に対して尊敬や尊重の気持ちを示す行為や態度を指す言葉である。敬意は、人間関係を円滑に進めるための基本的なマナーとして認識されている。敬意を示す方法は多岐にわたり、言葉遣いや態度、行動などに現れる。例えば、敬語を使うことや、相手を尊重する態度を持つこと、礼儀正しく行動することなどが挙げられる。また、特定の文化や社会では、特有の敬意の表現方法が存在することもある。例えば、日本ではお辞儀をすることが一般的な敬意の表現とされている。敬意は、人間関係の構築や維持、コミュニケーションの円滑化に寄与する重要な要素である。
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字は、ていねいか。
美しい必要はない。文章での敬意の表現として、文字の大きさや濃さ、位置は適切か、すっきりをこころがけよう。
読みたいことを、書けばいい。
君は、作文を通して、君を知らない中学校の先生に自己紹介している。敬意をこめて書けば、先生は敬意をこめて君を知ろうとする。知ってほしいことを書けばいい。君の紹介文として、読みたいことを、書けばいい。
参考文献