2020年1月7日火曜日

学校ってなんだろう。 ヤフーとその仲間たちのすごい研修 篠原匡 日経BP  

勉強を楽しめればいいのだけれどなかなか難しい。私の仕事は、一人ひとりの解決すべき「課題」に対し、must(必要)な取組みを提案し、子供たちの実行と継続を支えることだ。

課題はモチベーション。勉強そのものより、勉強の先に何があるのか、子供たち自身が考えを深めないまま勉強していることだ。

この本で得た知見は「課題設定」と「振り返り」だ。

課題設定

★★★p157
『実際に話を聞いてみると、みんな本当にいい子で高校生活を楽しんでいるんですよ。学校の努力もあって今のままでもいい高校生活を送っていますが、さらに魅力を足せばもっといい高校になる。生徒の皆さんと話をしたことで、そう確信しました』

 でも、

『生徒と話し合う中で、卒業後の進路を考えるきっかけが少ないと感じ』

『現実問題として、多くの生徒の学生生活は充実しているが、卒業後の進路をなんとなく決めてしまう生徒もおり、進学先や就職先で長続きしないことが少なくない。』

『そんな将来の夢や目標が漠然としている生徒に対して、地域資源やITを活かした様々なプロジェクトを通して将来の選択肢と成功体験を感じられる場を提供しようと考えたのだ。』

 ここから

『美瑛の地域資源を活用した実体験によって高校生の将来像形成に寄与するプログラム である「美瑛学」という考え方にたどり着いた』

のだそうだ。

竹数通信「学校って何だろう」で私は次のように書いた。

「学校」は他者と交流する中で、「試行錯誤」を繰り返し、経験値を高め、「自分は大丈夫」という「尊厳」を得ていく場所だ。

試行錯誤から、こどもたちは「学習」に向かうだろうか。簡単なことではない。それを気づかせられるのは、わたしたち「身近な大人」だ。

p29『生きていてよかった』『本当に楽しい』と心の底から思えるような仕事や場を提供することが会社やマネージャーの重要な役割だと思うんですよ。そのためには社員がやりたいと思える仕事を見つけてあげないと。

結論

身近な大人たちが、たくさん関わりながら、こどもたちが頑張れること目標を一緒に考える。

振り返り

この本の次の一文で、さらに自学自習を強化するには、リフレクション(=振り返り)が必要、と気づいた。

★★★p136
『これをやれば必ず成功するという方法論はありません。であるならば、自分のマネジメントのやり方を自分で作り上げる以外にない。そのためにリフレクションが必要ということです。』

結論

塾での学習で今日は何を勉強するのか、成果はどうだったのか、を毎回振り返ることで、目的意識を高めることができないか。

読後メモ
イシューとは、

一般的な用語としては「論点」「課題」「問題」などと訳されることが多いが、クリティカル・シンキングにおいては、論理を構造化する際に、その場で「何を考え、論じるべきか」を指す。 「イシューを特定する」とは、「何を考えるべきか」「受け手の関心は何か」を熟考し、「考え、論じる目的」を押さえることを指す。[グロービス経営大学院wedsiteより]

「解くべき課題」とは

★★★p56
イシュー、 「二つ以上の集団の間で決着がついていない問題」と「根本に関わる、あるいは白黒がはっきりしなていない問題」の両方を満たすもの
プロフェッショナルと呼ばれる人々はバリューのある(価値の高い)仕事を顧客に提供している。そのバリューは解くべき課題、すなわちイシューの質と解の質の両方が揃って初めて満たされるものだ。「それは一体何の意味があるのか」ということをはじめに見極めることが、バリューの高い仕事をするカギだ。 『イシューからはじめよ』安宅和人(英治出版)

★★★p28
フォロワー理論とはリーダー自身ではなく、リーダーを支える部下(フォロワー)の行動や考え方に焦点をあてたメソッドのこと。当事者意識を持ったメンバーが能動的、自律的に働くことで、強力なリーダーが率いるのと同等か、それ以上の成果がだせるという考え方。【略】

★★p43
本間浩輔
研修って何だろうっていうことを考えると、全体を一律に引き上げることではなくて、それぞれの人が一歩前進するような手助けをすることだと思うんです。
例えばTOEICの点を一律に800点にするんじゃなくて、あなたは600点を650点に、あなたは800点を820点に。あなたはヒアリングを頑張ろうぜ、というように、多種多様な人たちがそれぞれのゴールに向かって一歩歩みだすことが研修の目的でしょう。

★★★p165
子どもたちは地域にとっては重要な人材です。彼らを地域の中に折り込むのは地域の力だと思うんですよ。それは地域にしかできません。
地域の中に教育力があるかどうかは地域の大きな要。ここをいい加減に扱ってしまうと、地域はどんどん力を失ってしまう。

★★p19
今後組織のなかでダイバーシティ(多様性)が進むのは間違いない。それはチームに女性や外国人が入りましたという単純な話ではなく、異なる価値観や考え方を持つ人間、言ってしまえば自分とは合わない人間、苦手な人間と議論を重ねてアウトプットをしていくということ。そういうことをしていかないと、イノベーションが起きないというのが今の考え方でしょう。

★p24
ありとあらゆる課題をインターネット技術によって解決していく。
p30
社員の力を結集させるには行動原理としてのバリューを合わせる必要がある上に、社員が目指すべき将来像と会社が求める人材像が合致していることが望ましい。
「課題解決」
「爆速」
「フォーカス」
「ワイルド」

★p31
デービッド・コルぷが唱えた『経験学習モデル』とは「経験」→「内省」→「概念化」→「実践」→「経験」 
この仕組みを回すために「1 on 1」部下の課題解決や目標達成を支援するために実施。部下の内省を支援し、経験学習を推し進める。

p33
東京大学准教授 中原淳 経営学習論

p44
一人ひとりに気づきを与えるなんていうことは手間がかかってとてもできないのが現状でしょう。僕はそういう現状にとても不満を感じていたので今回のような手作りの研修を作りました。

p51
「自分トリセツ」

p86
相互理解

p88
コミュニケーション 対話モード→議論モード→やり切りモード
話し合いの場で悪い癖がついてしまうと修正することはまず不可能。

p90
「リフレクション」振り返り。チームにどう貢献できたか、自分の働きはどうだったか。チームの状態はどうか。何がよくて何がよくなかったのか。

p108
何を言っても大丈夫だというセイフティーネットが必要。

p116
「はたらくを楽しもう」と「楽しくはたらく」は違うよね。仕事は大変で辛いことも多々あるんだけれど、何かを多成し遂げたときに「ああ、やってよかった」「頑張ってよかった」と思う、それが「はたらくを楽しもう」

★p176
異なる施策が並ぶのであれば、その上位にそれらを統合する概念が提示されていなければならない。

p199
人を生かすことが国の繁栄の最大の源である

p201
経験を体験にせず、意味を見いだし未来につなげるためには言葉に出して表現する必要があります。ぜひ半年間の出来不出来を自分の言葉で表現してください。

20170725記 再掲