2016年4月26日火曜日

今を大事に。

高校教員を辞して3年目の2011.7、私は咽頭がんを発症、声を失うかもしれない、と思っていた時期があります。入院前の2011.8.9、大学生の長男と高1の次女に送った手紙が見つかりました。今回の震災で、今を大事に生きなければと強く感じました。関わる子どもたちに寄せる思いは同じです。大人の役目として「生きろ」と伝えていきます。


MとTへ  2011.8.9
9月は川棚町のキャノンの新工場誘致が決まり、県北の経済活性化が期待されていました。しかし先日はキャノンの非正規雇用者大幅人員削減が発表されました。今朝は貝津のソニーの人員削減の記事がありました。
世界を「100年に一度」と言われる世界恐慌が襲っています。ほんの2,3ヶ月前と経済の状況がまったく変わってしまったのです。この3ヶ月に君の身の回り、学校で何か変化がありましたか?

教育は社会と連動していません。社会に出たとき必要なことをかみくだいて学びます。かみ砕きすぎて現実みがない。だから面白くないことが多い。しかし教科書のたった1行の記述でさえ、何十年、何百年という歴史の重みに耐える価値があるのです。1+2=3という事実も永遠に変わることはありません。

勉強はその事実が生まれた背景を理解すると面白くなります。先人たちの努力や知恵にふれると「なるほど」と思えてくる。彼らの飽くなき興味が社会や科学の進歩に貢献してきたのです。暗記するだけにとどまるのはあまりにもったいない。

新聞を読みなさい。ネットを検索しなさい。世界はものすごいスピードで変化しています。自分の大好きなこと、興味をもっていることについては誰にも負けない知識をもちなさい。小中高で学んだことが君の興味を支えているのがわかるでしょう。でも残念ながらそれがわかるのは、君が大人になって、大好きなことを自分の仕事にしたときでしょう。振り返ると、ある日の君の決断が、自分の一生を決定し、学校で学んできた延長上に今の自分の存在を感じるはずです。

失敗を次に活かせる人間になること。学ぶ力を育てなさい。今を後悔しないように。