2023年県立中入試で取り組む4冊を決定。県立中受検生はこの順に取り組ませる。
小学生が取り組む中学入試問題だが、高校生にも取り組んでほしい問題集もある。紹介する。
中高生に勧めたい
【1】小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本
「国語力を身につけたい中学生や高校生にとっても役立つ内容になっています。国語の問題の解き方に学年差はありません。ですから大人にも役立つ内容になっています」
と著者自身が記す。実際、記述問題の出典は、講談社現代新書、岩波ジュニア新書、ちくまプリマー新書、幻冬舎新書、新潮新書など、中高生から大人が読むシリーズが多い。だから、日常的に本を読む習慣をつけたい中高生が読むには良いきっかけとなる。
無意味だと知りつつ、国語の定期考査に、正解を覚えて臨んだことはないだろうか?
この参考書は「なぜその選択肢を選ぶのか」論理的に解く方法を解説する。高校受験、共通テストに続く、十分通用する内容だ。
正解のような不正解がどのように仕込まれているか、わかる。
読解問題の選択肢に簡単に ◯(正解) とわかる選択肢はない。たいていの場合、 ◯に近い保留 -以下◯近、 ×(不正解)、×に近い保留-以下×近 から選ぶ。
易しい4択問題は、×と×近が3つ、◯近が1つで作られていた。除外する×と×近を選んで、残った◯近が正解。
私がわからないと諦めたのは「変化はどれか」を問う5択問題。◯近が3つ残った。これという決定打が見当たらない。選んだ選択肢は不正解。解説によると「変化の後の結果だから」間違い、だそうだ。
著者は言う。
読む力がある子に見られるのが、問題に対する答えを文章全体から考えて、自分の体験に照らし合わせながら答えることです。(略)自分の体験から類推して、(略)答えを探してしまうのです。読む力があるのに×が多い場合は、「答えは文章中にある」と教えてあげると、それだけで成績が大きく変わります。迷った場合は、文章内容と選択肢の内容を比較して、あっていない度合いの大きいものから順に消していくと正解にたどり着けます。
正解のような不正解をどのように作問者が仕込んでいるかがわかる、区別の仕方を学べる本。どう読むかは、どう選ぶかから始まる。そう感じた1冊だ。
小6・中学生向け
文章を読む前に、設問を分析するというテクニック。
【2】適性検査対策問題集 作文問題 書き方編
「次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい」の一文で国語の問題は始まる。しかし、この参考書には「次の文章」がない。あるのは設問だ。
何について聞かれているか把握するために、まず設問を分析せよ。
と指南する。最初は違和感を感じた。「次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい」とあるのだから、文章を読むのが先、という人もいるだろう。
この本を読み終えて私は、設問分析を先にする習慣を子供たちに身につけさせたい。と思った。この参考書を小中学生にきっちり勉強させるために、書き込み式のまとめプリントも作った。
- 設問を分析する
- 文章を意味段落に分ける
- 小見出しを入れる
- 構成メモを作る
・・・と作文する手順も明確。習慣化するには練習、訓練が必要だ。
「中学校に入っても、この経験を活かして〇〇しようと思います」は作問者はこんなまとめの作文を読みたいのではない、ときっちり否定する。まったく同感!。常套句でごまかさない、ホンモノの作文力を鍛えてくれる本である。
小学生向け
日常的な12のテーマで考え方を整理しておく。
【3】とまつ式 合格をつかむ作文トレーニング 創元社
- 人づきあいとリーダーシップ
- マナーとルール
- 地域社会と社会問題
- 読書と学習
- 言葉の今と昔
- ・・・・
この参考書の良さは上記のようなさまざまなテーマについて、書き方、考え方を整理できる点だ。たとえば、 人づきあいとリーダーシップの「トレーニング」では、
- 友だちってどういう人?
- どういう人と友だちになりたい?
- クラスで意見がまとまらない時は?
- ・・・・
と友だちについて考えを深めさせる。
さまざまなテーマについて考えをまとめて文章にしておくことで、作文の問いかけに対し、多くの切り口を準備できるメリットがある。
小学生向け
テーマを深掘りする。
【4】作文力で合格!
この参考書の位置付けはテーマの深掘りだ。【3】の参考書で扱った人づきあいとリーダーシップを【4】では次の6つで問いかける。
- 人と関わって生きるとは?
- 「他者」ってどんな存在なの?
- 人と和して生きていくには
- 中学校生活での仲間とのかかわり方は?
- 理想の「リーダー像」ってどんな姿?
- 理想的な対話とは?
だから参考書は【3】→【4】の順で取り組むことがいいだろう。
あとがき
生徒さんに適切なアドバイスができるよう、私自身多くの指南書を読み、このブログの記事を書き、過去の記事を編集し直すことで添削練習している。なかなかうまくならない。読んでもらう難しさ、わかりやすい文章を書けないもどかしさを痛感している。反省しきり。m(_ _)m
だから小中学生のうちに一生もんの作文力をつけてほしいのだ。