2026年7月29日水曜日

助産師になる。

助産師を目指して熊本大学(医学部保健学科看護学専攻)や福岡大学(医学部看護学科)などの助産師コースを志望する受験生・保護者様は少なくありません。
しかし、大学合格だけを目標にするのは非常に危険なリスクをはらんでいます。

ここでは、助産師になるための「すべてのルート」の現実と、今の学力に応じた「取るべき具体的な方向性」をアドバイスします。


1. 熊本大・福岡大「大学4年制助産師コース(統合課程)」のリアル

大学へ進学し、4年間で「看護師」と「助産師」のダブル取得を目指すルートです。

メリット
  • 最短4年・最安コスト:進学の手間や追加の学費をかけずに卒業後すぐ助産師として働ける。
知っておくべき厳しい現実
  • 定員は学内のわずか10%前後(超狭き門):例えば福岡大学(1学年約110名)や熊本大学でも、助産師コースの枠は年間わずか10名程度です。
  • 1〜2年次の「GPA(大学の成績表)」一発勝負:大学入学後の基礎講義や実習で「秀・優(A評価)」を揃え、学内上位1割に入り続ける必要があります。
  • 大学に入れたとしても、:入学直後からトップ10%を走り続けるのは容易ではありません。「大学に入れたが助産師コースの選考に落ちた」というケースが最も多いのがこのルートです。

2. 大学4年制だけじゃない!助産師になる「3つのルート」徹底比較

助産師国家試験の受験資格を得る方法は、大学4年制コース(統合課程)以外にも存在します。自分の学力や状況に合わせてルートを組むことが重要です。

ルート 修業年数 主な特徴・選抜方法 こんな子におすすめ
① 大学4年制コース
(統合課程)
4年
(看護+助産)
大学1〜2年次の学内成績(GPA)上位10%による学内選抜。 入学時から大学内でトップ成績を維持できる自信がある子。
② 大学院進学
(修士課程・2年制)
6年
(大学4年+院2年)
看護大学卒(見込み)後、院試を受験。専門筆記・英語・研究計画書・面接で選抜。「修士号」も同時取得。 大学での成績一発勝負を避け、高度な専門性や将来の管理職・教員を目指したい子。
③ 助産師専攻科・別科
(1年制)
5年
(大学4年+1年)
または
4年
(専門3年+1年)
看護大学・高看護卒(見込み)後、1年制の専攻科を受験。母性看護学・小論文・面接などで選抜(倍率3〜5倍)。 大学の学内選考に落ちた場合のバックアップ、または専門学校から最短・低コストで目指したい子。

3. 「学力に不安がある子」が今取るべき具体的な方向性

学力不足や模試の伸び悩みに直面している場合、志望校を下げる・下げないにかかわらず、**「助産師になるための戦略」**を以下のように切り替えるのが最も現実的で成功率が高まります。

方向性A:看護大学を目指しつつ、「本命を大学院・専攻科受験」に置く(二段構え戦略)

「熊本大・福岡大、またはその他の公立・私立看護大学」を受験し、まずは看護学部に入学します。

  • 大学1〜2年次:学内選考(上位10%)にダメ元でチャレンジする。
  • 選考から漏れた場合(メインプラン):焦る必要はありません。3〜4年次で「母性看護学」と「英語」を重点的に勉強し、4年次の夏・秋に他大学の「大学院」や「助産師専攻科」を受験します。
  • メリット:大学1〜2年次の成績(GPA)に縛られず、自分の努力次第で試験(専門知識・面接)をカバーして合格できます。

方向性B:高等看護学校(3年制専門学校)で基礎を固め、「専攻科」で化ける

無理をして難関大学を目指して浪人したり不合格になるリスクを避け、地元の看護専門学校(3年制)へ進学する道です。

  • 具体的な流れ:専門学校の3年間で看護師国家試験の知識と臨床の基礎を叩き込み、卒業時に1年制の「助産師専攻科・別科」へ進学します(「熊本保健科学大学 助産別科」や「遠賀中央看護助産学校 助産学科」など九州内にも選択肢が豊富)。
  • メリット:「専門3年+専攻科1年=計4年」となり、大学4年制コースと同じ「4年間」で助産師になれます。学費も大幅に抑えられます。

方向性C:一度看護師として就職し、1〜2年後に進学する(社会人ルート)

  • 新卒で専攻科や大学院に落ちた場合でも、まずは病院の産婦人科や小児科で看護師としてスタートを切ります。
  • 現場での経験と資金を蓄えた上で専攻科・大学院に再挑戦するルートです。臨床経験があることは進学試験の面接や実習で強力な武器になります。

4. 助産師になるために一番大切なこと

「熊本大や福岡大の看護に入ること」は、助産師になるための**数ある手段の1つ**に過ぎません。

本当の目標は「素晴らしい助産師になって現場で活躍すること」はずです。
目先の大学名や「4年制コースの狭き門」に縛られて不合格になったり夢を諦めたりするのではなく、「大学院進学を見据えて大学を選ぶ」「専攻科進学を見据えて専門学校で実力を蓄える」といった、柔軟で賢いルート戦略を持ちましょう。

単なる偏差値による志望校判定だけでなく、入学後の学内選考の現実や、卒業後の大学院・専攻科進学まで見据えた「逆算型の進路戦略」を一緒に考えます。志望校選びや学習法でお悩みの方はご相談ください。


助産師を目指せる全国の大学院一覧

大学卒業後に進学し、修士号と助産師国家試験受験資格を同時に目指せる主な大学院です。(※各大学院の公式サイトへリンクしています)

【最短1年で助産師へ】専門学校・大学卒から目指せる主な助産師専攻科・別科一覧

高等看護学校(3年制)や看護大学を卒業(見込み)後、1年間で集中して助産師国家試験の受験資格を目指すコースです。(※各校の公式サイトへリンクしています)



【学費比較】国立大学看護学科 vs 福岡大学医学部看護学科

助産師・看護師を目指す進路選びにおいて、大学4年間の学費は保護者様にとっても非常に重要な比較ポイントです。
国立大学(熊本大学・長崎大学など)と私立大学(福岡大学医学部看護学科)の学費総額をまとめました。


1. 4年間の学費比較表

区分 国立大学
(熊本大・長崎大など)
福岡大学
(医学部看護学科)
差額
初年度納入金 約 81.8 万円 約 180.7 万円 私立が約 100万円 高い
2年次以降(年額) 約 53.6 万円 約 153.6 万円 私立が約 100万円/年 高い
4年間学費総額 約 242.5 万円 約 641.4 万円 私立が約 400万円 高い

2. 学費の内訳詳細

国立大学(熊本大学・長崎大学など一律)
  • 初年度納入金:817,800円(入学料:282,000円 / 授業料:535,800円)
  • 2〜4年次(年額):535,800円
  • 4年間合計:2,425,200円
福岡大学(医学部看護学科)
  • 初年度納入金:1,806,710円(入学金:270,000円 / 授業料:1,040,000円 / 教育充実費:470,000円 / 諸会費等含む)
  • 2〜4年次(年額):約 1,535,600円
  • 4年間合計:約 6,414,040円

3. 学費以外に必要な「実費費用」(両校共通)

上記の授業料・入学料とは別に、看護学科では以下の実費費用が4年間で約15万〜20万円程度必要となります。

  • 教科書代(専門書・国試対策本など:約8万〜10万円)
  • 実習用ユニフォーム・ナースシューズ代
  • 実習傷害保険料・抗体検査費・ワクチン接種費用
  • 国家試験受験料・模試受験料

4. 保護者様への進路アドバイス

国立大学は4年間の学費が私立の3分の1(差額約400万円)と経済的メリットが非常に大きい反面、共通テスト(5教科7科目など)が必要となり入試難易度が高くなります。

経済的な負担を考慮しながら志望校を組み立てる場合は、以下の戦略が有効です。

  1. 国立第一志望:共通テスト対策を徹底し、熊本大・長崎大などの国立看護を目指す。
  2. 私立併願時の特待生狙い:成績優秀者を対象とした給付型奨学金制度(授業料免除等)のある私立大学を併願する。
  3. 専門学校+専攻科ルートの活用:地元の看護専門学校(3年)から助産師専攻科(1年)へ進むことで、4年間の総学費を大幅に抑えつつ助産師を目指す。